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◇ コ ラ ム ◇ 「SP音源復刻 信時潔作品集成」 

2008.12.02 コラム

 このたび「SP音源復刻 信時潔作品集成」が世に出た。信時潔といえば、「海ゆかば」の作曲者として有名であるが、そのイメージがあまりにも強すぎるがゆえに信時潔の作品は戦後忌避されるきらいがあった。その点で、「戦友別盃の歌」というすばらしい詩を戦中に発表しながら、戦後は国粋的すぎたという烙印を押されてひっそりと暮らさざるを得なかった詩人の大木惇夫と似ている。
 「SP音源復刻 信時潔作品集成」の企画・構成及び音源の復刻は、音楽史研究家で私と同じSP盤の蒐集家でもある郡修彦氏が担当、解説は信時潔氏のお孫さんでいらっしゃる信時裕子氏で144ページも及ぶ解説書は読み応えがある。私も多少この「作品集成」の制作に関わった。「駒場の歌」という稀少盤の音源を提供させていただいた。
 この「作品集成」の目玉はなんと言っても埋もれた名曲「海道東征」であろう。これは紀元2600年奉祝記念作品として神武天皇の東征の物語を詩人の北原白秋が書き、信時潔が渾身の力を込めて作曲した交声曲である。歌は東京音楽学校(現東京芸術大学音楽学部)本科声楽部の生徒を中心に歌われ管弦学部なども総動員されて作られた。SP盤の方は十二吋盤8枚が特製ケースに入っておりスコア付きで日本ビクターから昭和十六年四月に発売された。蒐集家というものは、不思議なもので同じものでも場合によっては何セットも所有していたりするもので、私は「海道東征」を三セットも持っている。美麗盤に差し替えたい、スコア付きの完品(稀少盤)を欲しい、というマニア独特の欲求にかられたからだ。
 新品同様のSP盤であっても材質が劣悪だったのと録音技術が悪かったせいか、それほどレコードの音は良くない。だが、この壮大な神武天皇の物語、すなわち日本の精神そのものを、西洋の音楽技術をもって表現しようとした試みは、すばらしいとしかいいようがない。
 聴くたびに新しい発見と感動がある。北原白秋の歌詞と信時潔の曲を是非おのおのの耳だけでなく、魂(たましひ)で聴いていただきたい。
 「作品集成」には他にも舒明天皇の御製に曲をつけた「やまとにはー國見の歌」などの名曲もある。戦前の日本精神の神髄に触れてみたいと思う方にとってはおすすめのCDである(CD6枚組と解説書のセットで¥15750)。
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