◎ 政 治 ◎ 大阪ダブル選挙に想ふ
橋下徹氏率いる大阪維新の会が、昨日の大阪市長選、府知事選を制した。
市長選について出口調査を見ると、2月の名古屋市長選と同様、無党派が圧倒的に橋下氏に流れ、かつ自民、民主支持層の半分以上がその政党が推薦した候補、つまり平松邦夫氏ではなく、橋下氏に投票したということである。この結果をたんに有権者の既存政党、とりわけ二大政党への失望のあらわれと見るべきなのか。むろん、それもあるだろう。しかし、橋下氏の勝利はそのパフォーマンスのうまさと政治手法が奏功したというほうが大きな要因なのではないか。
橋下氏の手法は、かつての小泉純一郎元総理のそれとそっくりである。「カイカク、カイカク」と連呼し、それに反対する者がいれば「抵抗勢力」というレッテルを貼り、巧妙に単純な二項対立をつくるという手法だ。むろん、改革が悪いとはいわない。守るべきものを守るために、変えるべきところは変えるというのが保守の基本理念であるのだから。
しかし、どうも最近、「官から民へ」とか「脱官僚で政治主導」とか、あるいはTPP問題における「農業vs輸出産業」「保護主義vs自由貿易」のように、問題をやたらと単純化したうえで「マルかバツか」で決めさせようとすることが多い。わかりやすいが、微妙な内容や、TPPでいえば非関税障壁のように他の大きな問題が矮小化されたり、無視されたりすることがままあるのである。これは非常に危険であり、注意が必要だ。郵政民営化が良い例ではないか。
また、橋下氏が府知事から市長に鞍替えし、府知事に腹心の松井一郎氏を据えるというやり方は、プーチン氏とその傀儡のメドベージェフ氏がポストを入れ替わるというロシアの手法を想起させる。権力を集中し、長期間維持するための典型的な手法だが、このようなやり方がついにわが国にも現れたということだ。日本はいつからこんな国になってしまったのか。
それにしても、自民党の石原伸晃幹事長が早速、「大阪府民、大阪市民が大阪の将来を考えて決断した。府民の決断を多としたい。橋下氏から要請があれば、協力を検討したい」とおっしゃったのには驚きを禁じえなかった。
みなさんどう思われるか。
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