再び関岡英之氏の論文について
みなさんは、前に紹介した月刊文藝春秋12月号の関岡英之氏の論文「警告リポート奪われる日本」お読みになったでしょうか。この論文は、郵政民営化の背後に米国保険業界の意向を受けた米国政府からの圧力があることを指摘したもので、なかなか内容の濃い読み応えのある話題の論文です。その関岡氏ですが、同じ文藝春秋1月号に再び寄稿されました。「TVで暴言を吐いた竹中大臣へ」というタイトルのものです。時間がありましたら、是非読んでいただきたいと思います。
なんとその中で私城内実が6月7日の衆議院郵政民営化特別委員会において竹中大臣に対して、過去一年間に米国と郵政民営化問題について何回会談、協議したかという質問のやりとりが引用されておりました(ちなみに竹中大臣の答弁では17回ということでした)。私は外務省職員だったからこそ良く分かるのですが、毎月一回以上米国政府が日本に対して郵政民営化に関する進捗状況をチェックしにきているということは、米国が日本の郵政民営化に多大な関心を持っていたということと、一定の期限を区切って民営化を実現する方向で交渉していたとみて、ほぼ間違いないと思います。
私は反米でも嫌米でもありません。日本は、安全保障上米国より多大な恩恵を受けているのは事実です。しかし、なんでもかんでんも米国の要求どおりの改革を実行していくことが日本にとって良いのかどうか真剣に考える必要があると思っております。ヨーロッパのようにケースバイケースで、自国の国家国民の利益を考えて、米国に追従したり、拒否したりするような国になれないのでしょうか。ドイツとフランスがイラク戦争に軍隊を派遣しなかったのが良い例です。
残念なことに、日本のマスコミが不勉強なのか、あるいは分かっていても権力から圧力をかけられているからなのか、この点についてほとんどまともな報道がなされておりません。国民も知らされていない。恐ろしいことです。人権擁護法案と全く同じです。日本に本当の言論の自由、報道の自由があるのでしょうか。
国家国民の視点に立った、血の通ったほんものの改革を行っていくには、「パンとサーカス」の劇場型、大衆迎合型政治と即刻決別し、少数の怒れる民衆が立ち上がるしかありません。伝統、文化や精神が軽んじられ、利益第一主義のどこかの建築士のような物欲人間が権力と癒着し、まじめにこつこつ働く市民が馬鹿をみて、少ないふところから税金を払わされて物欲人間のための尻拭いをするような、この末期症状にある日本。このふがいない日本をみなさんとともにまっとうな国に再建しようではありませんか!
平成17年12月12日(月)