衆議院議員 静岡県第7選挙区城内 実

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◎ 政 治 ◎ 丹羽大使の更迭と政治主導の崩壊

2012.08.22 ピックアップ

 丹羽宇一郎駐中国大使の事実上の更迭が決まった。ただし、その時期は、日中国交正常化40周年や共産党指導部の交代等の行事ののち10月以降になるとのことである。いかにも民主党らしい対中配慮だが、中国の新体制がより反日的になるおそれがあり、かつわが国固有の領土である尖閣諸島への活動家上陸等の安全保障上の問題が提起されている今、むしろすぐにでも更迭すべきである。
 丹羽氏の手ひどい失敗のせいで、当面民間人の主要国大使への就任はないだろう。素人の、しかも赴任国に強い利害を持つ「商人」が中国などという多くの問題を抱える軍事大国の大使に就くことの悪影響、そしてその末路は、まさに私が平成22年6月の質問主意書で指摘し、本年6月15日の外務委員会で質問をし、著書『政治家の裏事情』でしるしたとおりになってしまった。丹羽氏就任を「民間出身大使定着への試金石」と述べた岡田副総理(当時は外務大臣)に是非とも所感を伺いたいものである。
 ところで、丹羽氏のほかの大使人事については9月に発令される見込みであるが、このたび佐々江賢一郎事務次官の駐米大使就任が決まりそうだ。次官経験者の駐米大使就任は実に11年ぶりであるが、思い起こせば私がまだ外務省職員だった平成13年、田中真紀子外務大臣(当時は自民党)のもとで行われた政治主導の「外務省改革」において、次官経験者の大使転出の禁止が提言されて以来のことだ。この次官経験者の大使転出自粛の流れが、まさに政治主導を表看板としていた民主党政権肝いりの丹羽大使更迭により、事実上終止符を打たれるというのは、なんとも皮肉なことである。
 私は「官僚主導」の政治を求めているわけではない。そもそも、いかに官僚主導で政策が策定されようが、それを最終的に決め、責任をとるのは誰あろう政治家(大臣等)の仕事なのである。官僚主導が事実としてあるならば、政治家の怠慢ないし不作為の方が問題なのだ。他方、「脱官僚」という言葉は、官僚機構という日本最大最高のシンクタンク機能を捨て去るに等しく、きわめて愚劣である。
 官僚だって省益のことをだけ考えているわけではない。国を思い、日々汗をかいている人間もたくさんいる。『政治家の裏事情』に書いたように、私は、外務次官を経験し、大使を務めた経験豊富な優秀な人材で、国家観がしっかりして体を張って国益を守るような人物であれば、戦前のように時として外務大臣に就任しても良いと考えている。一連の人事を「外務省回帰」などと近視眼的に見ず、まずは日本外交を正常化させるための経験豊富な専門家たちの働きに期待し、政治がしっかり決断し、責任をとる体制を再構築してみようではないか。
 なお、私が出身官庁である外務省をこのようにやや弁護する立場に立ったからといって、財務省、農水省、国交省、経産省、厚労省などのような巨大許認可・利権官庁と違って、選挙の票や資金面でなんのメリットもないことを強調しておきたい(その証拠に外務省出身の国会議員がなんと少ないことか。自民党はたった二人である。)。
 「脱官僚」とか「官から民へ」といったスローガンこそが亡国への道であり、内外の一部の勢力につけ入るすきを与えるものである。みなさんから非難されることを覚悟して今回私なりの意見を述べさせていただいた。
  
※私の著書『政治家の裏事情』(幻冬舎刊)では私の政治理念についても詳細に述べております!是非ご一読ください。下のバナーをクリック!