◎ 政 治 ◎ 鳩山邦夫総務大臣の辞任
12日、鳩山邦夫総務大臣が辞任した。事実上の麻生総理による更迭である。麻生総理は政治的なリーダーシップをとって勧善懲悪の精神で悪と戦うということを放棄してしまったようだ。良識ある国民が最も麻生総理に期待していたことだけに非常に残念である。
そもそもこの「簡保の宿一括売却未遂事件」は郵政民営化賛成とか反対とかとは全く別の次元の話である。現に鳩山邦夫前大臣は郵政民営化推進派である。
この簡保の宿の問題は、鳩山邦夫前大臣がいみじくも主張していたように、「国民の財産をかすめとるような悪事をはたらいた者を不問に付すわけにはいかない、責任をとってもらう」という ことであり、郵政民営化が正しかったとか間違っていたとかという次元の話ではない。要は背任のような犯罪行為かそうでないかというごくごく単純な話である。それを多くの識者があたかも郵政民営化反対派の抵抗勢力がいちゃもんつけているかのような印象を与えているのは筋違いもはなはだしい。
私が不思議でならなかったのは、普通あれだけあしざまに西川社長が所管大臣に批判されていてなぜ「名誉毀損で鳩山大臣(当時)を訴えるぞ」という脅しを、直接できなければ、誰か第三者を介して間接的にしなかったのかということである。鳩山大臣があれだけ強気に出れたのはやはり、前法務大臣として確証をしっかり握っているからであると考えるのが自然ではないだろうか。
何が裏舞台であったか知らないが、私はこの異常な状況を今でも不安感いっぱいでびくびく見守っているのは実は確信犯の売国●●勢力だと思っている。鳩山邦夫前大臣は野に放たれた野獣も同然だ。これからあらゆるタブーに挑戦していいたいことをいうだろう。パンドラの箱はもう開いてしまったのだ。鳩山邦夫大臣辞任で一層問題の火種を大きくなった。
私は日本の検察はまだまだ捨てたものではないと確信している。例のおおものの政商は見逃したものの、小泉政権絶頂期にライブドアの堀江社長や村上ファンドの村上社長を逮捕したではないか。そんな芸当ができるのだ。
だからこれで簡保の宿の問題が一件落着したと思ったら大間違いだろう。すなわち西川社長擁護派の「勝ち」で鳩山邦夫前大臣の信念派の「負け」でゲームセットということではない。私は29日の株主総会までにやはり西川社長が辞任せざるをえないと見ている。あるいは、急に体調を崩して入院するかもしれない。野党や国民世論が黙っているわけがないからだ。党首討論も17日に迫っている。その直前の辞任か?いずれにせよ、もうここまで来たら西川社長は続投しても地獄、辞任しても地獄なのだ。
数年前のライブドアや村上ファンドに司直の手が入って、今回の国民共有の財産である簡保の宿の問題の方はセーフということになったら、それこそ日本の検察もおしまいである。もう一度思い出して欲しい。一括売却されそうになった簡保の宿の政府による固定資産税評価額が800億円であり、市場価格だと約1000億円である。それを800億円や1000億円ではなく、優良な資産も不良資産すべてひっくるめて100億円という超安値でオリックス不動産という民間会社に払い下げようとした。こんなことがありえない、異常だということは小学生だって分かるというものだ。100円のガムを10分の1の10円で売るのとは訳が違う。桁が違うからだ。将来転売してぼろもうけした900億円(あるいはもっと巨額)は誰のところに消えるはずだったのかという話だ。
いずれにしてももう麻生政権は末期的な症状を呈しており、これで麻生政権の支持率はさらに低迷し、このままずるずるいくと、いずれ反乱分子に引きずるおろされるであろう。国民の前で政治的リーダーシップをとる最後のチャンスをご自身の何かと引き替えに(未だに不明だが)逸してしまったのだ。
国民新党の長谷川憲正参議院議員は「家老が『うちの御用商人が悪いことをして懐を肥やしている』と殿様に言ったら、『お前が腹切れ』と言われたようなものだ。本当に情けない」と語った。なかなかおもしろいことをいうと思った。
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