三角合併の解禁
本日(5月1日)からいわゆる「三角合併」が解禁となる。某経済紙などは、海外からの投資が増大し、経営の効率化によって、日本経済の活性化と成長をもたらすものとして肯定的にとらえている。
確かに外国企業による投資が全て悪であるというわけではない。例えば外国の製造業が、日本国内のどこか郊外に工場を建てて、近隣市町村から労働力を募集し雇用するような、いわゆるグリーンフィールド型の直接投資であれば歓迎すべきものである。
しかし、「三角合併」は、外国企業が資金を用意せずして、ただ自社の株券を用意するだけで日本企業を完全に子会社化(買収)しやすくする制度であり、これまでの「M&A」よりはるかに強烈だ。「M&A」は、怪しい出資者のアングラマネーであろうと、まがりなりにも資金を必要としたが、この「三角合併」は株券を刷るだけで企業を買収できるという点でまさに現代版の錬金術である。
一時サッポロ・ビールに対する敵対的買収が話題となったが、外資による敵対的買収の防衛策が十分でない現状にあって、このまま「三角合併」が解禁となると、日本の上場企業が次々と外国企業の傘下に下っていく可能性がある。
郵政民営化とは、「350兆円に及び簡保・郵貯資金を外資に引き渡す道を開く改革」であり、混合診療をはじめとする医療改革は、「健康保険を外国の金融資本に差しだす道を開く改革」であり、一連の司法改革は、「弁護士を粗製濫造して日本をアメリカのような訴訟国家にし、アメリカの弁護士事務所が日本でビジネスをしやすくする改革」である。
このことについては、先日紹介した『「改革」にダマされるな!ー私たちの医療、安全、教育はこうなる』
(関岡英之、和田秀樹共著、PHP研究所)にわかりやすく書いてある。
「三角合併」の解禁により、我々日本人が汗水たらして苦労して生み出してきた価値や技術が根こそぎ外国にただ同然でもっていかれる危険性はないのだろうか。さすがの善良な国民も何かがおかしいとそろそろ気がつき始めなければならない。
5月1日(火)