ハゲタカ・ファンド
いわゆるハゲタカ・ファンドといわれる外資が怒濤のように日本に流入し、足腰の弱った日本の企業を二束三文の値段で買いたたき、次々と餌食にしている。外資導入をすべて「悪」と決めつけてはならない。外資の導入により企業規模を拡大し、利益の増大を図らなければグローバル化した世界のビジネス社会で勝ち残れない。また、外資の導入によって雇用が拡大すればそれは地域の振興にとっても良いことである。
しかし、単に金もうけのために企業を安く買いたたき、高値で売ったりするようなハゲタカどもはごめんこうむりたい。「官から民」へというスローガンは聞こえは良いが、民間市場は利益のためならなんでもする怪物にもなる。この怪物をコントロールするのは市場原理でもなければ、自由主義でもなく、実は国家しかない。アメリカのような弱肉強食型の社会であっても、証券取引関連の規制は徹底している。日本は、規制緩和路線の下、適正な規制もせずに何でも自由化して市場原理に委ねた結果、ライブドア事件、耐震強度偽装問題はじめ、法の網をくぐり抜けたり、ばれないように法を犯して金もうけをする連中が出てきた。その金もうけに政府がお墨付きを与えたところが異常である。
いわゆる勝組が利益を独り占めするのではなく、国家の適正な介入によって利益を、もちろん均等にする必要はないが、ある程度全体に行き渡るようにしなければならない。その判断をするのが国家である。議会制民主主義をとる以上、一国の総理が有識者と相談して勝手に決めるのではなく、全国の国会議員はじめ各種団体や地域の声をしっかりと踏まえた上で利益を過疎地の中山間地域や離島にもきちんと行き渡るようにしなければならない。
最近の規制緩和路線、市場原理主義、株式至上主義の行き着くところはアメリカ型の格差社会である。格差が広がりつつあることは、現場の声を聞けば明らかである。今日の某新聞の社説に「格差の話はずっと昔からある」などと書いてあって驚いた(この社説を切り抜いてとっておくことにした。10年後にもう一度批評したいと思う)。新聞社のおえらいさんも、当世の流行ばかり追わずもうすこし初心にかえってひたいに汗して働く庶民の声をもっと聞いて頂きたいと思った次第である。
4月30日(日)