衆議院議員 静岡県第7選挙区城内 実

活動報告及びお知らせ
国家国民のための信念を貫く男 信念

活動報告及びお知らせ

ACTIVITY

◎ 政 治 ◎ 福田政権の行方 

2007.10.25 コラム

 私が連載している月刊誌「耀」の11月号の原稿を以下で紹介する。
 ところで、今回構造改革路線派の方からトラックバック(もじもじスケッチ)を通じて貴重なご意見をいただいたので、この場を借りてリンクを貼らしていただくことにした。改革の問題については、賛否両論あると思うが、これからもみなさまからのご意見をお待ち申し上げる。
 「民意」も大事であるが、「天意」というものも大事にしたい今日この頃である。このことについては、分かる人は分かるであろうが、分からない人は一生分からないであろう。
題名:福田政権の行方
先日地元浜松で講演をした。ふと会場の正面を見ると演題が訂正されていた。「安倍政権の行方」という演題の「安倍」の部分に「福田」という紙が貼られていた。なんとも言いようのないむなしさがこみあげた。
 この講演会の演題を決めたのが八月末頃。秘書のO君は、参議院選挙の大惨敗を受けて安倍政権がこのままどうなるか分からないので、安倍退陣も想定して「日本の改革の行方」というような無難な演題にすべしと進言してくれた。だが、私はテロ特措法の延長に命を賭けんばかりの気概を持っておられた安倍晋三先生の姿を見て、解散総選挙も辞さずで少なくても十一月までは持つだろうと考え、敢えて「安倍政権の行方」という演題にこだわった。結果は残念ながらO君の予想通りになってしまった。
 テロ特措法の延長問題については、賛否両論があり、非常に難しい問題であるが、中身がどうあれ、強力なリーダーシップを発揮すれば国民は安倍首相についてきたはずである。ひょっとすると低迷していた支持率も上がったかもしれない。郵政売国法案ですら、小泉元首相の「殺されてもいい」という「覚悟」があったから、国民がその「覚悟」に心酔し、思考停止状態に陥り、なだれをうって自分たちの首をしめる悪法に賛成したのである。
 平沼赳夫先生が先般述べておられたが、安倍晋三首相があと一時間がまんして、最後の力をふりしぼって代表質問の冒頭で「テロ特措法の延長に命をかけます!」と絶叫して本会議場の壇上で倒れ、慶応病院に運ばれたなら、情勢は全く違っていたとのこと。確かにそのとおりである。明治時代に土佐藩出身の自由民権運動家の板垣退助が暴漢に襲われて倒れた時に、「板垣死すとも自由は死せず!」と叫んだ文句は一世を風靡し、板垣の人気を不動のものにした。それくらいのことができなかったのか。前号でも述べたが、全く最悪のタイミングでの辞意表明であった。
 参議院選挙対策にしても、私がもし安倍首相の側近であったならば、「小沢一郎氏と私をどっちをとるのか」という子供のけんかのような台詞を絶対に言わせない。強行採決の連発も最悪の戦術であった。それよりも徹底的に小沢一郎民主党代表をもちあげる。ほめ殺し作戦である。「小沢一郎代表は日本の政界になくてはならないキーマンである。選挙に負けてもどうか引退しないで欲しい。ミスター年金の民主党の長妻昭氏は年金問題の日本一のエキスパートである。参院選が終わったら、自民党は、小沢さんや長妻さん、野党の代表者も入れて年金問題解決のための超党派のプロジェクトチームを作るので是非参加していただきたい。」と言わせればいいのだ。こういう話を持ちかけられると、民主党側はイエスともノーとも言えない。国民の手前、ふりあげたこぶしをおろせなくて困惑するはずである。
 十月八日、私の地元の浜松にて城内実後援会主催のシンポジウムを開催した(詳細は城内実のホームページ参照)。パネリストは、平沼赳夫先生、櫻井よしこ先生に城内実の三名、コーデイネーターは関岡英之先生という布陣であった。定員二千三百名の会場は数百名の立ち見が出るほどで、別会場の展示イベントホールも満席、総勢四千名を越える大盛会となった。当日は地元の浜松以外からも全国各地からこのシンポジウムに多数ご参加いただいた。この場をお借りして感謝申し上げる。
 このシンポジウムでは平沼赳夫、櫻井よしこ両氏から安倍晋三前首相に対して肯定的な評価がなされるとともに、福田康夫首相に対してやや厳しい見方がされた。真正保守派からみれば、福田康夫首相はあまりにも中国寄りで、歴史認識の点で不満があるのだろう。しかし、福田康夫首相は今のところ(10月中旬現在)代表質問、衆参の予算委員会の質疑で無難に野党の攻撃をこなしている。30%代で低迷していた安倍政権下の支持率も50%前後と持ち直した。
 参議院で野党が過半数を制しているせいか、福田首相の答弁は平身低頭という感じである。参議院選挙前の強行採決の連発がうそのようである。予算にしても、あれだけ「聖域なき」構造改革と叫んできたのに、公共事業、特に道路の財源の見直しが進んでいる。
 前回の参議院選挙における自民党の惨敗は明らかに、地方切り捨て、弱者切り捨ての構造カイカク路線に対して長年の自民党支持者及び庶民からノーがつきつけられた結果である。マスコミの中には、安倍政権において構造改革路線への取り組みが中途半端だったからというとんちんかんな主張をする者がいるが、これは地方の空気を全く読めていない(いわゆるKY)東京という井の中にいる蛙の妄言である。
 先日「不都合な真実」で環境問題に警鐘を鳴らしたアル・ゴア元米国副大統領がノーベル平和賞を受賞した。ヨーロッパも含めて世界の潮流は、弱肉強食型の新自由主義経済路線から、環境や平和を大事にする時代に入っている。このことに福田政権が気がつかないようでは、単なる選挙管理内閣で短命に終わるであろう。