◇ コ ラ ム ◇ 「月夜船」
2008.01.30
コラム
先の大戦も末期の昭和19年11月に「かぼちゃの歌」と「月夜船」のレコードがニッチク(旧コロムビア)から発売された。この「おおいそこゆく のぼり船 今夜は月夜だ どこゆきだ えー 船底一ぱい 荷をつんで・・」ではじまる「月夜船」は戦時下には珍しい軍国調を全く感じさせない演歌調の歌である。作詩は藤浦洸、作曲は古賀政男である。この戦前の「月夜船」はなぜかなかなか出てこない稀少盤の一つである。歌は沖縄出身の波平暁男が歌っている。
戦後は、同じコロムビアから「月夜船」のリメイク盤が発売された。歌手は「湯の町エレジー」、「山小舎の灯」などで有名な近江俊郎である。この「月夜船」はのちに三波春夫が一世を風靡した「チャンチキおけさ」の裏面の「船方さんよ」と曲がそっくりなのでいろいろと問題となった。
こうした名曲が埋もれないように、これからもしっかりと私が理事をつとめる日本音盤倶楽部などの活動を通じて子々孫々にレコード文化を受け継いでいきたい。