◎ 政 治 ◎ チベット問題とダブルスタンダード
チベット騒乱についてこれだけ世界中の良識あるひとびとが「人権侵害けしからん」だとか「民族浄化だ」とか「北京五輪ボイコットだ」とか声高に叫んでいるのに、なぜか中国の隣国の日本の政府やマスコミが他人事のようなクールな対応である。
パキスタンのブットー元首相の暗殺に対してパキスタンの軍事独裁政権はけしからんだとか、ミャンマー(ビルマ)のアウンサン・スーチー女史の軟禁に対して経済制裁せよとか、イラクのサダム・フセインのクルド人殺害はジェノサイドだとか言った人々は、同じようにチベット問題に対して中国政府に断固抗議し中国製品を不買運動するくらいの勇気があるのだろうか。
どうも、日本のマスコミも経団連を中心とする我が国の財界も、中国に対して対応が甘すぎる。パキスタン、ミャンマー、イラクなどはさまざまな問題をかかえている国であることは間違いないが、中国だって同等かそれ以上であるではないか。
チベットのみならず、ウィグルなどの少数民族に対する民族浄化まがいの弾圧、天安門事件(第二次)の活動家に対する虐殺、虐待、不当な拘禁。法輪功のメンバーに対する虐殺、虐待、臓器の摘出と売買など人権侵害事案については、枚挙にいとまがない。今この瞬間、多くの人々が中国の官憲によって不当な人権侵害を受けている。また、地球環境の汚染もひどい。
それでも、なぜアメリカや日本の一部の層が中国に甘いのか。それは、簡単である。中国は軍事大国だからである。また中国は巨大なマーケットで「もうかる」、「おかねになる」からである。
こんなことをみなさんは経験したことがないだろうか、からだが大きい暴れん坊の悪ガキA君がいたとする。弱い者いじめをしたり、人のモノを盗んだりする。とんでもないやつだ。学校の教師も手がつけられない。その悪ガキが一年に一度珍しく良いことをする。すると、教師をはじめ、みんなが「へー、A君にもいいところがあるんだ。ふだんはいやな奴と思っていたが、見直した。」と言い出す。それに対して、A君が弱い者いじめしているのをみかねてとめたりする、品行方正で正義感の強いB君がいる。ちょっとしたことでB君が過ちをおかしたら、ここぞとばかりにA君や見て見ぬふりのそのほか大勢C君たちはB君をたたく。それどころか、A君がまわりの生徒からかつあげして奪ったお金の一部をもらってC君たちはありがたがる始末。
みなさんはおわかりであろう、A君こそ今の中国や北朝鮮、B君こそかつての古き良き時代の誇りある日本(やまと)、C君こそ今の卑怯で正義感のかけらもない現代の無国籍現世御利益主義の日本である。
良識ある日本人よ、刮目せよ!チベット問題は人ごとではないのである。50年後に日本が同じ目にあい、ダライラマのように皇室関係者が外国に亡命しているということが全くありえないと言えるのか。