天皇陛下「お気持ち」表明
8日午後3時、天皇陛下が、「お気持ち」をビデオメッセージで表明されました。何よりもまず、我々日本国民とともによりそってこられた天皇陛下のお気持ちが、ひと言ひと言、重みをもって心に強く響いてまいりました。天皇陛下が即位されてから28年、全身全霊をもって、日本国、そして日本国民の象徴としての務めを果たして来られたことに深く感謝を申し上げます。
その上で、天皇陛下が我々国民に向けてご発言されたこと、そのことを重く受け止めなければなりません。ご年齢や体力的なこと等にも触れられました。天皇陛下がそこまで心情を吐露されたこと、そのご心労に深く思いを致す必要があります。
他方で、天皇陛下が天から与えられた本来のお役目は祭祀の長として、祖国日本の安寧と国民の幸せ、ひいては世界人類の平和を、一子相伝の神事を通じて祈ることであります。国事行為なるものは、もちろんそれ自体は統治機構上重要な行為ではありますが、あくまでも明治維新以降の西欧化に伴う、「元首的」な行為に過ぎません。したがって、国事行為等のご負担の軽減については、摂政をおくかどうかは別として、皇太子殿下はじめご皇族の方々に代行していただくことが適当と考えられます。天皇陛下にあらせられては、掌典長の輔弼の下に、宮中にて祭祀の長として、静かにお祈りしていただく。そのことが天皇陛下のご負担の軽減にもつながるのではないかと思います。
また、今回、生前の譲位を認めることにより、日本の国柄や國體が将来よろしくない方向に変わることがないのかどうか慎重に検討する必要があります。生前譲位が前例として認められることにより時の権力者により恣意的に退位させられる危険性がないか、前天皇、今上天皇とお二人の象徴が存在すれば国民に混乱を招かないか(過去の上皇、天皇の二重構造は悪しき前例と私は考えます)、元号の問題、住居の問題、呼称の問題、大嘗祭のタイミングなど、多岐にわたる論点も検討する必要が生じます。
今回の天皇陛下のお気持ちを最大限尊重しつつ、我々が今この瞬間に生きている三次元の世界を超えたより高次元の神々の世界にも同時に思いを致す必要があります。高天原というものが存在するならば、それは天照大御神様はじめとする神々の世界であり、そこにはお隠れになった歴代の天皇もいらっしゃるのではないかと思います。繰り返しになりますが、そうした神々に祖国日本の安寧と世界人類の平和のためにお祈りすることこそが天皇陛下の一番重要なお役目であります。
そうであるとしたら、まさにそこに「大御心(おおみごころ)」という神々のご意志(ご神意)がある気がしてなりません。過去から現在、現在から未来という時間軸をしっかりとらえ、政治的な概念ではなく、日本の伝統文化や人智を超えたものに対する崇敬の念をもってこの問題をとらえる必要があると思います。今回の生前譲位の問題は、「多くの国民が賛同している」、「諸外国も肯定的にとらえている」とか、「欧州の王室でも生前退位がある」、「天皇も人間としての人権がある(日本共産党の志位委員長)」とか言った次元でとらえるべきではありません。より高い次元の「大御心(おおみごころ)」にも沿った形で(直接確認できないので、歴史と伝統に則って「忖度」するしかありませんが)、のちのちの我が国の歴史に禍根を残さないように、天皇陛下のご内意を重く受け止めつつも、今回の生前譲位の問題を慎重に考えていく必要があると思います。